《1》復代理
復代理人とは代理人の代理人ではなく、本人のもう一人の代理人です。
本人Aは代理人Bに契約の代理を頼んでいましたが、代理人Bが急病で代理ができなくなったとします。このままでは契約ができないのでBがもう一人代理人をつけることにしました。この代理人が復代理人Cとなります。つまり復代理人Cは代理人Bのスペアというわけです。
もちろんこの復代理人Cが契約したものはAに帰属します。
気をつけなければならないのは次の三つです。
1.復代理人Cがいても代理人Bは代理権を失うことはありません。
2.そして復代理人Cの代理権は代理人Bを上回ることはないです。
3. 代理人Bの代理権が消滅すると復代理人Cの代理権も同時に消滅します。
委任による代理人の場合は勝手に復代理人をつけることができません。
しかし本人Aの承諾を得ていたり、急な病や交通事故などのやむを得ない理由がある場合は復代理人を選任することができます。
委任による代理人が復代理人の行為の責任を負うときは《選任監督責任》のみ負います。
法定代理人はいつでも復代理人をつけることができます。その代わり復代理人の行為についての責任はとても重いです。
原則では全責任を負います。やむを得ない理由により復代理人を選任した場合には《選任監督責任》だけ負えばいいのですが委任による代理人の選任監督責任よりも重い責任になります。
《2》無権代理
本当は代理人でない人が勝手に代理人のふりをして行った契約は無効になります。これを無権代理行為といいます。
しかしこの契約は本人が追認すれば無権代理行為の時点に《さかのぼって有効》になります。
無権代理人と契約した相手方を保護する3つの制度があります。
(1)催告権
(2)取消権
(3)履行請求権・損害賠償請求権
(1)催告権とは本人に対して相当の期限をつけて「追認するかどうか決めてください。」ということができる権利です。
代理人が無権代理人だったと知らなかった《善意》の場合はもちろんですが、知っていた《悪意》の場合でも催告できます。
(2)取消権とは代理人のひとが無権代理人だったと知らなかった《善意》(有過失でも)の相手がたが契約を取り消せる権利です。
(3)履行請求権・損害賠償請求権とは《善意無過失》(有過失はダメ)の相手方が本人の追認がない間に無権代理人に《契約の履行》または《損害賠償の請求》ができる権利です。ただし無権代理人が制限行為能力者の場合はこの請求はできません。
無権代理人と相続について
例えば父Aの土地を息子Bがかってに私は代理人ですと何も知らない(善意無過失)Cに売ったとします。
そのあとで父Aが亡くなってしまったらBはその土地を相続する立場にあるので、はじめからBが自分の土地をCに売ったことにできます。
しかし他の相続人がいて共同相続だった場合はそのまま土地を売ってしまうとBだけ得をしてB以外のひとが可哀想ですので、この場合は共同相続人の追認拒絶権があり、有効にするためには共同相続人全員の追認がないと有効にできません。
上記の例とは逆に息子Bが亡くなってしまうと父Aにはもともとからある、土地の持ち主としての追認拒否の権利ももちながらも息子の無権代理人としての責任《契約履行義務》を相続してしまうのです。
なのでCが善意無過失なので、可哀想ですが父Aは息子Bの《相続を破棄》しない限り土地を取られてしまうのです。
《3》表見代理について
表見代理とは簡単にいうと《表から見たら代理にみたいに見える》ことです。
そしてこの表見代理には3つあります。
1.代理人が代理権限外の契約をしたとき
例)土地を賃貸してほしいと頼んだのに売却してしまった。など
2.代理人が代理権消滅後に契約をしたとき
例)賃貸契約の代理権を与えた者が破産してしまったそのあとに賃貸契約を結んでしまった。など
3.本人が代理権を与えていない者に「私はこの人に代理権を与えました。」と表示して偽代理人を代理人として契約したとき
例)土地売却の委任状を渡したが、まだ代理権を与えていない者が委任状を悪用し、Cに土地を売ってしまった。など
この上記の3つの例の答えは全部一緒になります。
相手方が《善意無過失》であれば契約は有効に成立します。
なぜなら相手方に誤解を生じさせた本人に責任があるからです。
相手方が《善意有過失》、《悪意》の場合は《無効》です。
表見代理とはちゃんと代理権がないので 無権代理の一種とも言えます。
なので相手方には《催告権》《取消権》《履行請求権・損害賠償請求権》がありますし、本人が追認することもできるのです。
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